1ヶ月で約3倍に 仮想通貨イーサリアムクラシック高騰に「5つの背景」

仮想通貨市場はビットコインが再び100万円を超え、アルト市場にも一部資金が流れるなど、2020年に入り、好調な市場環境が続いている。
その中でも一際高い変動率を記録している日本の取引銘柄がイーサリアムクラシックだ。
2020年から約1ヶ月で、186%高(3倍弱)を記録。CoinGeckoのデータによると、2017年のアルトバブルに記録した価格帯には達していないものの、過去最高の日間出来高を伴う価格上昇であることが確認された。
マネーフローについては、主にUSDTの取引がメインで、法定通貨では米ドルが主要資金流入元に(Coinlib)。2ヶ月前まで同サイト上で、主流にあった中国元は確認できなかった。
海外を含め、上昇理由が語られていない当該銘柄だが、ビットコインやビットコインキャッシュ、ビットコインSVなどで注目されるブロック報酬が今年減少する通貨でもある。
具体的には、イーサリアム同様、ブロック報酬が二分の一に減少する「半減期」とは異なり、規定%が減少する仕組み。イーサリアムクラシックの場合、500万ブロックごとに20%相当の報酬が減少する。
現在のブロック数は9,689,674ブロック(30日時点)で、次回ブロック減少タイミング(1000万ブロック)まで約30万ブロックと迫っている。具体的な日時に換算すると1ヶ月半から2ヶ月後が到達タイミングとして推定される。
ビットコインを含め、半減期を控える銘柄に価格高騰の事例が確認される今、仮想通貨市場のファンダメンタルズとして市場が織り込む動きに移行している事は言うまでもない。一方で、これらのブロック報酬減少銘柄の中でも到達タイミングが早いイーサリアムクラシックの価格推移は、その数ヶ月後に控える半減期銘柄のモデルケースにもなりうる存在だ。
なお留意したい点としては、イーサリアムクラシックの高騰理由に、ブロック報酬減少以外の好ファンダが重なった点が挙げられる。
主な要因は下記4点だ。
昨年9月のアトランティスアップグレードに続き、大型アップグレードのアガルタは1月上旬に予定通りに実装。アップデートの目的はイーサリアム(ETH)ブロックチェーンとの相互運用性の向上で、ETCのコミュニティとエコシステムを促進する重要なターニングポイントとなった。
イーサリアムクラシックといえば、2018年12月に資金繰りの悪化を理由にしたイーサリアムクラシック開発チーム「ETCDEV」の解散事例がある。「ETCDEV」が開発兼アップデートで重要な開発チームであった事や、アトランティスまで長期にわたり開発が停滞したことで、通貨の将来価値が大きく低迷。アルトの低迷期も重なった事で、市場価格が想定以上に下落していた。
2つの大型アップグレードの実装でプロジェクトの存続を再確認、割安感から個人投資家を中心とした押し目買いも入りやすいポイントと見られた可能性がある。
アップグレードに関しては今後、ETHの「イスタンブール」に対応する次のアップグレード「Aztlán」も予定される。
なお、開発チームが撤退した理由にもあがった開発関連の資金繰りに関わる好材料が次に続く「グレースケール」と「ETCラボ」の内容だ。
米大手仮想通貨投資ファンド「グレースケール」は23日、Ethereum Classic Cooperative(ECC)に対し、経済的支援期間の2年間の延長を発表。(ECCは2017年に設立された、ETCのプロトコルやインフラなど開発プロジェクトに資金を提供するパブリック慈善団体)
当初契約していた2020年までの支援を新たに2年延長。2022年4月までサポートを行うことを表明した。
また、22日には、開発に携わるコア団体のETCラボがUNICEF(国際連合児童基金)のイノベーション基金に対し、100万ドルのコミットメントを発表。資金力に余力があることを市場が好感した。
パブリック事業は新興市場における社会インパクトに取り組むブロックチェーンスタートアップに対する支援で、様々な社会問題の解決を目的としている。
最後に注目したいのがイーサリアムクラシックのハッシュレート値。
イーサリアムクラシックのハッシュレート値が他のアルトコインより重要になる理由には、過去に指摘された51%攻撃へのネットワークセキュリティが重要視されている背景がある。
51%攻撃は、米大手仮想通貨Coinbaseが2019年1月に警告したもの。「51%攻撃を含む【Reorg】行為を2019年1月5日に発見した」と発表した。
ETC公式デベロッパー団体も攻撃の状況を調査しながら、各仮想通貨取引所にブロックの「確認数」を増やすように勧告。当時の推定被害額は約4998万円相当(88599ETC)と発表されている。
なお、現在のイーサリアムクラシックのハッシュレートは、現在過去最高値を更新しており、51%攻撃が報告された当時の2.5倍水準に。ネットワークがより堅牢になったことも市場を後押しした要因に挙げられる。
今回のイーサリアムクラシックの高騰事例は、まさに過去の問題点を払拭(安値感からの押し目買い)と、半減期などのブロック報酬の減少といった好ファンダが重なった事例。現在のETC価格は急ピッチな価格高騰に利食いに動く投資家がいる可能性が警戒されるが、2018年から2019年にかけて不調な市場環境にあった他のアルトコインについては、今後の投資モデルとして注目したい高騰ケースと言えるだろう。
特に、半減期については、各通貨が順を追って実行ブロック数を迎えるが、市場に織り込む銘柄が多いほど、その後に控える通貨への期待感が増す可能性は十分に考えられる。その中でも実行ブロック到達が早いETCの事例は注目ポイントとなりそうだ。

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